栗駒山
２００３ ５／２７
栗駒山は宮城、岩手、秋田県にまたがる火山性の山である。お花畑や大展望が楽しめる
山で、百名山を選んだ深田久弥氏は秋田駒ヶ岳とこの栗駒山を百名山に入れるべきであっ
たと悔やんでおられたそうである。
昭文社の「日本百名山を登る」では山名の由来について「駒ヶ岳と同じく馬に因む山名。
宮城県では残雪の駒形を農事暦にした。」と紹介されている。漢字を当てた当時の人々は
このように考えていたのであろう。
なお、この山はいくつかの名前があり、宮城県では栗駒山、駒ヶ岳、岩手県と秋田県側で
は須川（酢川）岳、また秋田県側では大日岳の名前もあるそうである。これらの名前を地
形図から追ってみよう。
図 １．秋田、岩手、宮城県境の栗駒山周辺の地形図
この山は二重火山であり、成層火山である外輪山の南側はきれいに残っておりその南東
端の栗駒山（大日岳）が最高峰であり、北側はよく分からなくなっているが西側が崩れた
形になっている。また中央の火山に相当するのが剣岳で溶岩円張丘をなして、今でも硫気
活動が盛んであるそうである。この剣岳の拡大地形図を見てみよう。
図 ２．秋田県、岩手県境の剣岳の地形図
剣岳は栗駒山から尾根が延びて北に突き出ているように見えることが分かる。また、栗
駒山の外観を南側から眺めると下記のようである。
これらの地形図から今までの山名を整理すると下記のようである。
栗駒山 クリコマ kur-kom 日陰の、黒いコブ山
いつも日陰側にある秋田県側から見た山名
であろう。
駒ヶ岳 コマガダケ kom-ka-ta-ke コブ山の上手の切り立った所
須川／酢川岳 スガワ su-ka-wa 鍋底の上手の縁（の山）
二重火山の外輪山を指している。
大日岳 ダイニチ tay-ni-(o)t-i 森の木が群生している所
剣岳 ツルギ tur-ke （尾根が）延びている所
その他、下記のような地名が気になる。
足倉山 アシクラ as-kur 切り立っている黒い（山）
狐狼化山 コロゲ ko-or-ke そこは崖が崩れ深く窪んでいる所
外輪山が崩れた状態を山名に託してあるよ
うな山名である。
大薊山 オオアザミ oho-asam-i 奥深い底の所
これも外輪山の一方の縁と言う意味では。
雨田森 アマタモリ oman-ta-moy 奥に入った切り立った山
祭畤山 マツルベ ma-tur-pe 小さく延びているもの（山）
matu-ru(-un)-pe 入り込んだ入江の道があるもの
この山の東山麓に祭畤温泉があり関係する
か。
三角山 サンカク san-ka-ke 前に出た上手の所
詳細地形図で見るとこの山の頂上は三角錐
に近い形にも見える。（弥生語形か）
笊森 ザルモリ sar-moy 草原の山
横根岳 ヨコネ yoko-nay 獲物を狙う川（の山）
皆瀬川 ミナセ mena-se(tur) 上流の枝川の背骨の（ような川）
臼ヶ岳 ウスガダケ us-ka-ta-ke 小さな盆地の上手の切り立った所
ウスとはこの山の西にある沼沢沼を指して
いるのであろう。
大地森 ダイチ tay-(o)t-moy 木が林立している山
秣森 マグサモリ ma-kus-moy 小さな越える山
なお、ここの烏帽子山の山容は下記のようである。
図 ３．岩手県一関市の烏帽子山の外観、カシバード撮影像
西側から見た烏帽子山である。
烏帽子山 エボシ e-po-us-i 頭に子供（小山）を付けているもの（山）