ハワイの地名
２００３ ４／２３
４泊の夫婦でのハワイ旅行を終えて、地名の認識にも意義深いものがあった。リタイヤ
してからであったが、今回の旅は三菱電機勤務の最後の研修としての定年研修の位置づけ
ではあったが、今後の生活の意義を見直す良い機会にもなった。
ハワイの言語はアルファベットのローマ字表記で、５母音と７子音の１２文字でつづら
れ、日本のカタカナ表記としても普通に違和感が生じない。アイヌ語が５母音と９または
１０子音のローマ字でつづられるのと類似し、ｂ，ｇ，ｚ，ｖ等の濁音がないのも同じで
ある。従ってローマ字表記をそのまま読むことにより、またカタカナ表記をそのまま読む
ことにより伝わるのであるが、グロタルストップ（声音閉鎖音）と言う独特の発生方法が
あり、別の子音の役割をしているそうである。
地理的にはポリネシアントライアングルと呼ばれる北はハワイ、南西はニュージランド、
東にイースター島を結ぶ、サモアやトンガやクック諸島なども属する一遍が役８０００Ｋ
ｍの広大な三角形のポリネシア諸語・文化圏に属している。ポリネシア語がかっては１つ
であったのはキャプテン・クック一行が長い間滞在したソシエテ諸島の言葉で、ハワイの
日常的な用事が達成できたと言うことからも分かる。
歴史的には数万年前の最後の氷河期の海面が今より約１００ｍも低かった時代にはイン
ドネシアの当たりは幻の大陸、スンダランドがあり、一方オーストラリア、ニューギニア
やタスマニア島などはサフル大陸があり、その大陸間は１００Ｋｍに見たず、海流の流れ
から容易にポリネシアントライアングル地帯に行けたと推定されている。その後の温暖化
により、スンダランドの海没などと共に人々の拡散が、北に渡った人々の流れが縄文人・
縄文文化をもたらしたように東に向かった人々がポリネシア諸語をもたらしたことは間違
いではないであろう。
日本語の祖語をフイリッピン諸語であるタガログ語に求める言語学の先生も多いが、ハ
ワイ語の場合はポリネシア諸語であり、西太平洋のフィジ語、マダカスガル島のマラガシ
ー語、マレー語やフイリッピン諸語とも親戚関係にあるそうである。
文法的には日本語と大きく異なっている。下記の地名の例でも配列が逆のようである。
Ala Moana アラモアナ 道・大洋 → 海辺の道
Ala Wai アラワイ 道・水 → 水の道、運河
Wai-kiki ワイキキ 水・吹き出す → わき出る水辺
ワイキキの浜は昔は沼地で、埋立地
Mauna Kea マウナケア 山・白い → 白い山
代表的な地名の例を見てみよう。
Hawai'i ハワイ 死んで行く土地、あの世
ハワイの祖先は南の島から渡り鳥の飛んで来る方
向へ星や太陽を頼りに渡ったと伝えられている。
Honolulu ホノルル 保護された湾 hono=hana ：湾
O'ahu オアフ 集まる場所 ホノルル市のある島
Pu'u-loa プウロア 長い岡 太平洋戦争の発端の場所パールハ
ーバーの元の名前
Nu'u-anu Pali
ヌウアヌ パリ 涼しい高い所の崖
ホノルル市の北東の地、オアフ島の東部を遮る
コオラウ山脈の峠にある。偏西風の風が常に強く
この名がある。ハワイ島のカメハメハ軍がオハフ
軍を追いつめ征服した最後の戦いの場
Ko'olau コオラウ 風の方向
大海原の中の島であるために、偏西風の影響を直
接受け赤道に近いこの場所でも、日差しは強いも
のの常に温暖で過ごしやすい気象に恵まれる。
図 １．ハワイ王朝最後のイオラニ宮殿に向き合っているカメハメハ大王像
オアフ島における一例であるが、ホノルル市内でもあらゆる通り名などに現地名が細か
く付けられており、合衆国の人々が統治後も現地の文化・人々を大切に扱った跡が良く分
かる。現地を訪れても元々の現地の人々が訪問者と融合し、インターナショナルな交流が
行われていることに感動できる。
ハワイの地名はポリネシア語での遂字的な解明が進んでいる。どこかの国のように市町
村合併や語感の都合で簡単に地名を改名するのとは違い、先人の文化を大事にしようとす
る姿勢が違う。日本の地名もハワイの地名のように遂字的に読めるのであるが、縄文人、
縄文社会、縄文語などの解明が進んでおらず、または権威ある学者の間違った結論のため
誤った方向を向いており、唯一、土中の遺跡、遺品を手がかりにしているため、このよう
な姿勢でも不自然に思う人もなく、このような縄文語地名解釈はとんでもないものと考え
られているのであろう。地名の解明が縄文語、縄文文化の解明に最も身近で分かりやすい
ことを再認識してもらえる日はいつか来るのであろうか。
ハワイ訪問の機会を与えていただいた三菱電機の関係者に感謝し、地名の解明に今後も
少しでも役立てばと気持ちを一新しているところである。